CPA + MBA in Chicago

純ドメ会計士がChicago Booth Class of 2021で感じたことを記録するブログ

New Venture Strategy/Corporation Finance Week 3

昨日はNVS、今日はCorp Finのクラスがあり、これでWeek 3が終了です。勉強、クラス、家族(子供含め)と充実した日々を過ごしている一方で、ブログのエントリーやTwitterにアウトプットしていかないと、本当に流れるように毎日が過ぎ去ってしまいますね。

 

 

New Venture Strategy

テーマはThe Classic NVS Frameworks。スタートアップを評価するための軸について、非常にシンプルかつパワフルなフレームワークをいくつも紹介してもらいました。

また、とある起業家が主人公のケースを用いたケースディスカッションでは、実際にそのフレームワークを使いながら、なぜこのスタートアップが「イケてないのか」について理解を深めていきました(ズタボロに叩かれていて爽快感すらありました笑)。

失敗から学ぶ、とはよく言いますが、失敗はしたくないもの。そういった意味でも、失敗例のケースを分析、ディスカッションすることは非常に有意義だと感じました。

 

後半はデジタルベンチャーのCEOをゲストスピーカーに迎えてのQ&Aセッション。スタートアップのCEOとしての心構えや、起業についてのヒントをいくつもシェアしてもらいました。

 

こうやって毎週スタートアップについて考え、議論し、起業家の話を聞いていると、だんだん本当に起業したくなってくるから恐ろしいです笑

 

 

Corporation Finance

Corp FinのテーマはAPV/WACC。極めて実用的、かつ重要なトピックで、準備も楽しかったですし、議論も盛り上がりました。

特に印象深かったのは、FCFを算定する元となる将来予測数値について。特に何の疑問も抱かず、ケースの中で与えられた数値を使って算定したのですが、ディスカッションの最初の問いが「この予測数値はReasonableか?」。確かにこの観点はメチャクチャ重要ですよね。

 

少し話が変わりますが、会計士時代に減損や税効果会計の監査をするとき、クライアントが会計処理のベースにしている将来予測数値を監査する手続を思い出しました。ここがダメだとその後いくら丁寧に計算してもダメですもんね。

 

加えて、ディスカッションの過程で、所謂WACCの循環構造(WACCを求めるには時価ベースのDebt ratioが必要だが、時価を求めるためにWACCが必要)についても理解を深めることができました。

計算に循環構造を含んでいること、APVであれば純粋な事業価値とタックスシールドを分けて把握することが出来ることから考えると、APVのほうがよさそうな気が(素人ながら)してしまいましたが、授業での結論は「Debt ratioが一定の場合はWACC、そうでない場合はAPV」とのこと。

 

来週はMM理論についての講義と、リアルオプションのケースディスカッション。相変わらず盛りだくさんですが、気合を入れて頑張っていこうと思います。

 

The Study of Behavioral Economics/Operations Management Week 3

昨日は行動経済学とオペレーションズのクラスがありました。早いもので全体の1/3が終了したことになります。

 

 

The Study of Behavioral Economics

今回のテーマはSelf-ControlとPresent-Biased Preference。この問題を端的に表すと、「なぜ人は現在と将来のトレードオフを考えたときに、誤った決定をしてしまうのか」。

ダイエット中の人が誘惑に負けてケーキを食べて後で後悔したり、決心してジムに入会したのに続かなかったり。誰しも当てはまるこの問題は、以下2つの観点から整理できます。

  • 将来の事象を現在に割り引いて考えるとき、高い割引率が適用される
  • 現在と将来を比較(今日と1週間後)したときと、将来とさらに将来を比較(3週間後と4週間後)したときでは、感じ方が異なる

上記2つの概念を取り込んだより現実的な行動モデルが説明され、現実世界での具体例が紹介された後、どうこのバイアスと付き合うか、というTipsがまとめられて、3時間の講義が終了。

 

 

Operations Management

今回のテーマはFinancial Flow Analysis。前回、前々回と学んできたOperationsの基本概念を用いて、どこをどう改善すると、財務数値にどう影響するのか。良かれと思ってやったオペレーション改善が、ボトムラインの悪化につながってしまうケースなど、ケースディスカッションを通じて理解を深めました。

授業の構成が本当に素晴らしく、いつも自分のグループが準備したことの数段深いところまで、丁寧に気づきを与えてくれます(自分たちの検討が浅いということでもありますが…)。

最終的には、扱ったケースの内容を落とし込んだモデルが紹介され、どのレバーをどう変化させるとどう財務数値に影響が出るのかが一目瞭然となりました。非常にパワフルなツールを学ぶことが出来たと同時に、オペレーションマネジメントの重要性を実感できた素晴らしい授業でした。

 

 

今学期のクラスのサイクルにも慣れてきて、少しづつ勉強にも余裕が出てきました。幸いグループワークのチームメンバーにも恵まれ、ストレスなく、楽しく毎日が過ごせています(コンフォートゾーンを脱出出来ていないだけかもしれませんが…)。

このブログのエントリーも、今回のように授業の内容を整理することに加えて、何かしら授業の内容以外の気づきを整理する場にも利用できたらと考えています。

Corporation Finance Week 2

Corp FinのWeek 2が先ほど終わりました。

 

ハーバードのケースを用いて、NPV算定のために必要な割引率をどう設定するのか、どのデータを使って算定すればいいのか、その根拠は何か、クラスディスカッションで理解を深めていきました。

 

ケースディスカッションを通じて、自分の理解が不足している点や、勘違いして理解していた点、「教科書ではこうだけど実務だとこう」というポイントが非常に明確になり、改めて(今更ですが)ケーススタディもいいものだなぁと思ったりしました。

個人的にはFinanceのようなテクニカルな教科ほど、レクチャーを受けると何となく分かった気になってしまうのと、「結局どうなんだっけ」という手触り感が薄くなってしまうので、ケーススタディをゴリゴリやっていきたいタイプです。

幸いこのCorp Finの授業はほぼ毎週ケースディスカッションがアサインされているので、今後も気合を入れて取り組んでいきたいと思います。

 

 

少し話題は変わりますが、ここ最近New Venture StrategyやTechnology Strategyなど、ベンチャーやスタートアップに関する授業を複数履修する中で、自分の中で起業・アントレに関する興味がどんどん大きくなってきました。次の学期も継続してEntrepreneurshipに関する授業を履修し、可能であればEntrepreneurshipのConcentration取得を目指そうと考えています。

その中で一つ考えているのが、スタートアップ・ベンチャービジネスファイナンスの掛け算で学習できるコースです。PE/VC側ではなく、アントレプレナー/スタートアップ側の財務戦略やファイナンス、ファンディングについて学習できたら、と思っているのですが…なにかいいコースがないか、この週末少しリサーチしてみようと思います。

 

New Venture Strategy Week 2

今日はNew Venture Strategy Week 2でした。テーマはGoalとStrategy。

 

Goal/Strategy/Executionの違いといった普遍的なテーマからスタートし、途中ナポレオンを主人公にしたインクラスケースディスカッション(中世フランスの戦争がテーマで、ほぼ読みこなせなかった…)を行いました。

そこでナポレオンが取った行動から、現代のアントレプレナーにも通じる、有効な戦略を作るためのフレームワークを学び、最後は「IKIGAI」やビジネスのそもそもの目的についてディスカッションをして、前半が終了。

 

ここまででも既に盛りだくさんですが、後半の1時間は、Craigslistのファウンダー、Craig Newmark氏をゲストスピーカーに招いてのQ&Aセッションが行われました。

Craig氏は現在慈善事業家としても活動しており、Wikipediaによると2018年までの寄付総額は143million USD、正に億万長者であり、素晴らしい起業家です。そんな彼に直接質問ができるとあって、チャットには山のように質問が投稿されましたが、なんと幸運にも私の質問が選ばれ、質問をぶつける機会に恵まれました。

 

私の質問は、「Craigslistを始めた25年前から、ここまでCraigslistが大きくなるビジョンはあったのか」

彼の答えは「そういったビジョンは持っていない。ただ、皆のために何か良いことをする。それだけに従ってやってきた。これはCraigslistにとってのDNA。それが上手くいった。それだけ。」

 

彼の回答を聞きながら、これこそが正に彼にとってのGoalなんだろうと感じました。

 

 来週はケーススタディを通じて、より具体的なVenture Strategyのフレームワークを学ぶとともに、Final Presentationに向けたグループワークも本格化してきそうです。こちらも、進捗が見られたらここで整理していきたいと思います。

The Study of Behavioral Economics/Operations Management Week 2

今日はThe Study of Behavioral Economicsと、Operations ManagementのWeek 2でした。

相変わらず非常に面白かったのですが、特にOperations Managementの授業は面白すぎて感動すら覚えました。

 

 

The Study of Behavioral Economics

今日のテーマはプロスペクト理論

なぜ人間は小さいリスクを過度に気にしてしまい、結果として(経済学上)不合理な行動をしてしまうのか。様々な例を元に確認していきました。

個人的には、教授自身が研究に携わっていたゴルフパットの例が印象的でした。

  • 同じ一打であるが、バーディパットよりもパーパットのほうがプレッシャーがかかり、アグレッシブなプレイになりやすい
  • パーパットを外すと「ボギー」という損失評価になるため、損失を回避したいというバイアスが発生する
  • 同様の理由で、ボギー→バーディという2ホールよりも、パー→パーの2ホールのほうが感じる利得は大きい(ボギーという1打の損失は、バーディという1打の利得よりも過大評価される)

 

加えて、プロスペクト理論を上手く活用し、実生活やビジネスに活かす例を確認しました。例えば、損失を強調したほうがインパクトが残りやすい、期待値をコントロールして損失に感じさせないようにする、といったテクニックはよく語られるところです。加えて、「本当にその活用方法は倫理的か」というところまで踏み込んでディスカッションをしたのが印象的でした。

従業員の期待値をコントロールするために、真実ではない業績目標や競合の状況を伝えていいのか。

過度に不安を煽り、損失を印象付けるメッセージをだしていいのか。

勿論答えはNOですが、その線引きは難しいところです。

 

 

Operations Management

今日のテーマはCapacity Control。いわゆるボトルネックを見つけ、改善するプロセスについて、ケースディスカッションを元に学びました。

ケースについてはグループで取り組み、事前に予習をバッチリしてケースライティングも提出済みなので、グループディスカッションではその答え合わせをしながらポイントを確認するのかな、と考えていたのですが、いい意味で裏切られました。

単にボトルネックの生産能力を増強させるだけではなく、従業人のシフトを最適化したらどうなるか。資材の保管場所を増やしたらどうなるのか。

グラフや数値を使って非常に明確に解説してもらい、如何に自分のオペレーション改善に対する視野が狭かったかを痛感しました。

 

ケースのまとめとして、ボトルネックの改善プロセスや、投資意思決定プロセスについての示唆を引き出して、授業は終了。

オペレーションについて考えることの面白さ、幅広さ、奥深さについて、少しづつですが理解が深まってきた感覚があります。早くも来週の授業が楽しみです。

 

 

明日はNew Venture Strategyの授業です。ゲストスピーカーとして、Craigslistのファウンダーが来て下さるそうで、可能であれば直接質問をぶつけてみたいと思います。

 

 

Corporation Finance Week 1と、Winter Quarterの所感

昨日はCorporation Financeの初回クラスがあり、これで一通りWinter Quarterの初回のクラスを受け終わったことになります。

 

 

Corporation Finance

Week 1ということで、お決まりのイントロと、NPV、FCF、割引率の基礎的な考え方について。

クラスが20人未満と比較的少人数で、私のようにファイナンス初学者レベルが約半分、ファイナンスバックグラウンドが約半分と全体のバランスも良く、ディスカッションに気軽に参加して学びを得ていけそうな雰囲気がありました。

Week 2からはWACC、APVと内容もグッと本格的になるので、引き続き気を引き締めて予習していこうと思います。

 

因みにフォーマットとしては、約1.5時間のPre-record lectureで理論や計算を押さえ、約1.5時間のZoomの授業で毎週課題となっているケースについてディスカッションを行う流れです。個人的にはこのフォーマットが好きなので、ありがたい限り。

 

 

Winter Quarterの所感

まだWeek 1が終わった段階ですが、所感としては、今回も想像以上に面白く、興味深いクラスが履修できて既に満足といったところです。

どのクラスも良さがあって素晴らしいのですが、特にNew Venture StrategyはBooth2年間のハイライトになりそうな予感があるので、気合を入れて学習していこうと思った次第です。

 

 

今日は土曜日で授業やチームミーティングもなく、ひたすら集中してWeek 2の予習を進めていました。

まだ全体的なペースや、各クラスのやり方になじめていない部分があり、思っていたよりも効率が上がっていない感覚があります。幸い、致命的に進捗が遅れているわけではないので、明日も引き続き集中しつつ、徐々にペースをつかんでいけたらと思っています。

New Venture Strategy Week 1

本日は、個人的に今学期最も楽しみにしていた授業、New Venture Strategyの初回でした。

結論、まだ初回ですが取り敢えず最高でした。少しでもEntrepreneurshipに興味があるのであれば絶対履修するべきですし、コンサルや大企業を次のキャリアに据えている人にも学びが多そうだと感じました(実際教授がそのように明言しています)。

 

3時間のうち、初めの1時間がイントロ、次の1時間がEntrepreneur/Strategic Thinkerについての概要、最後の1時間がゲストスピーカーを招いてのQ&A(起業家かつ複数の大企業Board Memberを兼任)と、初回から盛り沢山でした。

 

特に印象に残った学びを羅列すると

  • Entrepreneurのみならず、すべてのビジネスパーソンに必須のスキルは①読み書き②ファイナンス③デジタル(なので、Ruby on RailsでWebアプリケーションを作成する課題があります…)
  • 常にFlip the mapで考えること。顧客視点、競合視点、規制視点を持つ
  • 過去から学ぶこと
  • Entrepreneurたるもの、椅子に座っているのではなく、現場に出て目で見ること
  • 良い質問をすること
  • ヤマ勘ではなく、理論的に、確率的に物事を捉えること
  • 短期的なゴールに囚われないこと
  • 喋るより聴くこと
  • これだと思う道が見えたとき、一度ステップバックして、もう一度自分に「これでいいか」問いかけてみる
  • Entrepreneurshipとは、CareerではなくState of mind(これをゲストスピーカーが言ったとき教授が大きくうなずいて拍手をしていました)
  • Uncertaintyな世の中で必要なことは①Resilience②Agility

 

今日は初回ということで、「Entrepreneurとはかくあるべき」的な話題が大部分を占めていましたが、来週以降はスタートアップビジネスに関するより実践的な内容になっていきそうで、非常に楽しみです。

 

一方で、教授が「Boothの2年間でもしかすると最も大変な授業かもしれない」と授業中チラッと言っていたように、来週から課題がモリモリなので、心して取り掛かろうと思います笑