CPA + MBA in Chicago

純ドメ会計士がChicago Booth Class of 2021で感じたことを記録するブログ

Chicago Booth MBA 1年目を振り返って

信じられないことですが、私のChicago Booth MBA 1年目が終わろうとしています。

 

今週はExam Weekで、本来であれば試験がいくつかあるはずでしたが、昨今の状況を鑑みて、すべてレポート形式になっています。内容は、これまでの振り返りをさせるようなものや、一つ授業に関連するテーマを選択して数枚のペーパーを書かせるようなものです。これを提出すると、1年目のすべての課程が修了します。

 

昨年9月に渡米してから約9か月、シカゴオヘア空港に到着した日を昨日のように思い出します。人生の中で最も濃密な9か月であったことは言うまでもありません。

 

今回のエントリーでは、Chicago Booth MBA1年目を振り返り、どんな学び、気づき、成長があったのかをまとめてみようと思います。

 

前提ですが、様々な授業を履修したことによって得られた広範な知識、日々のディスカッション等によって(多少は)ブラッシュアップされた英語力、Boothという素晴らしい環境がもたらしてくれるネットワークといった要素はもちろん素晴らしい学びであり、財産です。その上で、今回のエントリーでは、そういった一般的に認知されている学びを超えた、私なりの気づき、成長といったものにフォーカスして振り返ってみようと思います。

 

前置きが長くなりましたが、MBA1年目における自分の成長ポイントは、以下3つであると感じています。

 

 

自分の意見を持つ


MBAで学んでいることや、カリキュラムの中で日々実践していることには、ほぼすべてに共通して以下二つの特徴があると感じています。


①正解がない
②前提や情報が不完全

 

例えば、授業でよく用いられるケースディスカッションをイメージしてみましょう。ケースには様々な情報が盛り込まれていますが、もちろんすべての情報、状況が明記されているわけではありません。また、ディスカッションするテーマも「あなたならどうしますか」「なぜこのような行動をとったのでしょうか」といった、正解がない議論が殆どです。

 

そして、これら二つの特徴は、ビジネスにおける意思決定にもそのまま当てはまります。ビジネス上の決断に於いて、ありとあらゆる情報を考慮することは不可能ですし、またその決断には正解/不正解はありません。こういった要素を踏まえ、生徒である以上、与えられた不確実な状況を咀嚼したうえで、自分の意見をもっていないと学生間の議論に参加できません。


MBAで学ぶ中で、常にそのようなプロセスを繰り返します。はじめは、正解のないことに対し、不確実な情報から自分の意見を組み立てることは非常にストレスフルでした。MBAでの1年目を通じて、徐々に、不確実な状況、不完全な情報から自分なりに理論を組みたて、決断し、自分のスタンスを取ることが出来るようになってきたと思います。

 

自分の考えを人に伝える


先ほど述べたように、自分の意見を持つのは大前提ですが、日々のディスカッションや講義、レポートでは、その意見を相手にきちんと伝えなければいけません。特に、米国MBA生という立場で考えると、共通認識、コンテクストの無いマイノリティの立場でどう自分の意見を伝えるか、ということは非常に大きなポイントでした。

 

今でも日々苦労していますし、勉強の毎日です。その上で、理論構成の仕方、言葉の選び方、伝え方(特にノンネイティブとして)に意識を払い、なるべくミスコミュニケーションが起こらないような伝え方をするということに関して、この1年間でだいぶ鍛えられたと思います。

 

議論をする


加えて、人と議論をする、ということについても、MBAの1年目で非常に良い経験ができたと感じています。ここでの議論をするというのは、AかBか、という単純な対立構造というよりも、各自の意見をぶつけ合うことによってチームとして思考の幅を広げ、より良い決断、より納得感のある結論を導くことだという理解です。

 

始めに述べたように、正解がなく、不完全な情報の中で、そもそもどうやって議論をするのか、どうやって良い結論を導くのか。非常に難しいテーマですが、それに近いことを日々やっている(かつほぼノーリスク)のがMBAだと思います。加えて、日本人が苦手とする、意見と人物像を切り分けて議論することの練習という意味でも、日々のコミュニケーションやディスカッションは非常に役立っています。

 

Boothも含め、おそらくどんなビジネススクールでも、毎日のクラスディスカッション、チームディスカッション、ケースライティングで上記3つの流れを反復することになります。日々繰り返していることから非常に大きな学びがあったという意味で、私にとってMBA1年目は本当に実り多いものであったと感じています。

 

最後に、海外ビジネススクールという環境は、非常に広範かつ複合的な学びの場であり、個人個人がどうそのリソースを活用するかによって、異なる学びが得られるというのが私の理解です。

 

このエントリーが、少しでも読んでいる方々のイメージづくりに役立てば幸いです。