CPA + MBA in Chicago

純ドメ会計士がChicago Booth Class of 2021で感じたことを記録するブログ

"How Will You Measure Your Life?"

 But without a purpose, life can become hollow.

夏休みで時間があるということもあり、『イノベーションのジレンマ』のクリステンセン教授が、「人生」について述べている論文『How Will You Measure Your Life?』を読んでみました。

 

自分の今置かれている境遇にも重なる点が多々あり、MBA1年目を終えた今というタイミングでこの論文に出会えてよかったと心から思います。

 

今回のエントリーでは、私が特に共感し、今後の人生の教訓にしていこうと強く感じたポイントを3点、自身の整理のためにもまとめていきます。

 

 

The Purpose of My Life

1点目は、自分の人生の目的、目標を持つことの大切さです。

 

この点に関して、クリステンセン教授自身の非常にショッキングな体験談から話が展開されます。曰く、自身も卒業したHBSの同窓会では、HBSという世界最高峰のビジネススクールを卒業したエリートであるにもかかわらず、年々離婚を経験したり、子供と疎遠になったりと幸せな人生を歩めていない人が増えているそうです。なぜか?それは、彼らが「人生の目的」を見失ってしまったから。

 

自分自身の人生の目的についてしっかりと考え、きちんと理解することは「破壊的イノベーション」よりも大事なことだと、クリステンセン教授自ら述べています。非常に説得力のある一文です。

 

Clarity about their purpose will trump knowledge of activity-based costing, balanced scorecards, core competence, disruptive innovation, the four Ps, and the five forces.

 

そして、彼は「HBS(=ビジネススクール)が自分の人生の目標について深く考える最後のチャンスだ」と断言します。なぜなら、人生はどんどん忙しくなるから。

 

It’s quite startling that a significant fraction of the 900 students that HBS draws each year from the world’s best have given little thought to the purpose of their lives. I tell the students that HBS might be one of their last chances to reflect deeply on that question. If they think that they’ll have more time and energy to reflect later, they’re nuts, because life only gets more demanding: You take on a mortgage; you’re working 70 hours a week; you have a spouse and children.

 

この文章に出会ったとき、私のMBA生活2年目の目標が非常に明確になりました。

 

「自分自身の人生の目的、目標、ゴールについてしっかり考える1年間にしよう。」

 

My Resource Allocation

 次にクリステンセン教授は、自分自身のリソースの投下と人生設計について話を進めていきます。「戦略とは資源配分」とよく言われますが、同じ考えを人生にも当てはめている点、まさにHBSの教授というところです。

 

Your decisions about allocating your personal time, energy, and talent ultimately shape your life’s strategy.

 

そして、誰もが思い悩む「家庭と仕事」という切り口で、自身の資源投下に潜むバイアスを述べます。曰く、仕事というのは"the most tangible accomplishments"であり、無意識のうちに自身のリソースを投下しがちである一方で、家庭というのは全く異なるタイプのachievementであり、すぐに結果は出ることはない。そのため、仕事に全力投球する一方で、家庭が疎かになる傾向がある、とのこと。

 

ここで、教授は

even though intimate and loving relationships with their families are the most powerful and enduring source of happiness.

 

と述べ、長期的目線に立ち、自分が本当に大切なものへしっかりと向き合うことの重要性を強調しています。

 

自分自身、妻と2人の子供を連れて渡米し、日々忙しい毎日を過ごしている中で、無意識的に目の前の授業、課題に囚われてしまったり、卒業した後どれだけバリバリ働けるかに意識が向きすぎていたことに気づかされました。

 

先ほどの「人生の目的」について深く考えることにもつながりますが、長期的目線に立った家族の在り方と、そこに向けた自分の意識の持ち方についても、改めてしっかり考えてみようと思います。

 

The Importance of Humility

そして、 この論文の終盤でクリステンセン教授が強調しているのは、「謙虚さ」の重要性です。

 

曰く、謙虚でいることは「自身の学習機会の最大化」につながり、逆に自分より偉い人、賢い人からしか学ばないという放漫な姿勢は、貴重な成長機会を奪うことにつながるとのこと。

 

ただし、「謙虚」ということは、ただ単に媚びへつらうこと、自分を不当に過小評価することとは違うようです。自分自身をしっかりと評価し、自分がどんな人間であるかをしっかりと理解している人。そして、その上で他者をきちんと尊重できる人。

 

逆に、放漫な人、高圧的な態度を取ることは、自分に自信がないことの表れであり、他人を引きずり落していい気分になっているだけだと厳しく非難します。

 

 When we see people acting in an abusive, arrogant, or demeaning manner toward others, their behavior almost always is a symptom of their lack of self-esteem. They need to put someone else down to feel good about themselves.

 

私自身も、人生で出会ってきた中で本当に優秀な人、人として尊敬できる人は、常に高圧的になることはなく、高いレベルでの謙虚さを備えていたように思います。自分もいつかそのような人間になれる様、努力するとともに、常に「謙虚さ」を忘れず過ごしていこうと気持ちを新たにしました。

 

終わりに

以上が、私なりの3つの気づきです。

 

人によって感じ方、気づきは異なると思いますので、気になった方はぜひ原文を読まれることをお勧めいたします。

 

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